バラの育て方

2011/5/23 (月) Posted in 外構工事スタッフの雑談,, エクステリア・外構工事の裏話,, ガーデニング情報,
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綺麗な花でお庭を彩るガーデニング

苗選びについて  ”大苗?それとも新苗?” 

 晩秋、ガーデンセンターに行くと、立派な太い枝がにょきにょき出ている大苗が、たくさん並んでいます。栽培書を読むと、初心者は、そんな大苗から育てるとよいと書かれていることが多いのですが、果たして本当にそうなのだろうかと思うことがあります。ガーデンセンターなどで見かける大苗は、畑で大きく育て掘り起こしたものを鉢に仮植えして売られていることが多いようです。要するに移植直後と同じ状態。ですから、そのまま植え付けてもうまく根付くかどうかは、ある意味運次第…。また、海外などから取り寄せられた大苗は、ベアルートとも言われる太い根がむきだしのいわゆるゴボウ苗。この苗も賭けのようなもので、春になってみなければ活着したかどうかわかりません。実際私も、せっかく買った苗を植え付けたものの原因不明で枯らしてしまった経験が幾度かあります。このようなことから、栽培書に書かれていることとは裏腹ですがいわゆる大苗から育てるのは初心者にとってはむしろ難しいような気がしているのですが…。
 ただ、ナーサリーさんによっては、新苗をずっと鉢で育て、大きくしたものを大苗として扱ってらっしゃるところがあります。または、生産者からゴボウ根の状態で届いた苗を丁寧に大き目の鉢に植え付け、根が活着してから売りに出すという良心的なお店もあります。そういった鉢苗は、しっかりと細根が鉢にまわっていて、よほど自分の管理が悪くない限り庭におろしてもほとんどの場合元気に育ってくれます。
 それともう一つ、無農薬で育てるという観点から言うと、私は、大苗よりも新苗から育てた方があとあと成績が良いように感じています。苗が小さいうちから、化学農薬を使わないという環境に慣らしていくと、3年も経つころにはとっても丈夫になり、薬に頼らなくても美しい花を咲かせてくれるようになるのです。もちろん苗が小さいうちは病気にかかりやすいことも事実。植え付けて3年くらいは特に念入りにガードしてあげることは大切な作業です。
 そんな訳で、私が新しく購入するバラは新苗が多くなっています。近くのナーサリーさんからフレッシュな新苗を手に入れたら、まず小さ目の鉢(5~6号くらい)に植え付けます。近くのナーサリーさんからの苗ですと、気候が変わらないからでしょうか、いきなり無農薬の環境に置いてもいっぺんに葉を落としてしまうということはありません。条件の良い場所で、半年ほど鉢で育てた後、接木部分が活着していることを確かめてから巻いてあるテープをはがし、目的の場所に植え付けます。小さな苗だったものが、植え付けて3年ほど経つと、バラ自身の力が増し枝も大きく伸びて力強く咲くようになります。

植付けについて ”ラクな作業のために”

 バラの苗には、鉢苗とゴボウ苗いわゆるベアルートがありますね。
 輸入苗はほとんどがベアルートといわれるゴボウ苗。これは、バラを移植するようなものですから、届いてすぐ添付パンフレットの指示どおりの手順で植え付けても、結局春になって枝がしわしわになって枯れてしまうことが時々あります。そんなリスクも覚悟の上で、太くて長い根に見合った大きさの深い穴を真冬の寒風の中で掘らなければなりません。これが結構大仕事。ですから、よほどの理由がない限り、私はベアルートの苗を取り寄せるということはしなくなってしまいました。
 鉢苗は、一年中植付けが可能です。ただし、買った苗の鉢底穴から白い根が見えていなければ、ちょろりと見えてくるまで植え付けを待つことが大切な条件。根が活発に動いている春から秋に根鉢を崩して根を傷つけてしまうとバラは大きなダメージを受けてしまいます。細根がしっかり鉢底まで回っていれば、根鉢を崩さず鉢から取り出すことができ、大切な根にダメージを与えるという心配がないのです。
 我が家の場合、ミミズ君や微生物たちの働きで、庭土がどこを掘っても40センチくらいまでの深さなら柔らかい状態になっていますので、鉢苗なら、掘る穴は鉢の大きさで充分。小さな穴なら、掘る作業によってすでに植えてある他の植物の根を傷つけるということはありません。小さなシャベルを持ち、片手でちょいちょいと穴を掘り、穴の底に牛糞などの有機堆肥を少々入れて軽く底の土と混ぜたらもう準備完了。苗を植えつけたら、たっぷりと活力液をやって、はいできあがりです。
 肥料は、活着してから、置き肥えを株元にやります。薄い液肥をあげることもあります。

肥料について ”省肥が基本”

 バラは肥料食いと言われていますが、肥料代もバカになるものではありません。以前は栽培書通り、年2回の元肥はもちろん、追肥も月に1度の割合でたっぷりと施していたのですが、最近は、できるだけ最小限の施肥を志すようになりました。
 最近では、元肥は生ごみ堆肥や馬糞とわらの堆肥、微生物を増やすような資材が主体、追肥は、薄い液肥でというのが私の基本的な考え方。
 バラ栽培の始まりである12月、整枝を行った後で夏に仕込んでおいたバラ用の生ごみ堆肥を施します。これは、生ごみと牛糞をメインに漬け込んでおいたもの。熟成した生ごみ堆肥が用意できなかったようなときは、馬糞とわらで作った堆肥を取り寄せて撒いています。剪定で出た枝や葉も大事な有機質。鋏で3センチくらいの長さに切って、米ぬかとともに株周りにマルチングしておきます。このような残渣が土の上にあると、そこにどんどん微生物が集まってきます。そこに米ぬかを撒くと微生物が米ぬかからパワーを得て分解が早まり、土にまぎれさらに土の中の微生物のえさとなります。バラの枝葉が堆肥のように土を肥やし、病気を寄せ付けない微生物いっぱいの土を作るという考え方なのです。剪定で出たバラの枝葉は、年間をとおしてこのように土の上に置いています。そのたびに米ぬかを一緒に撒くというのはもちろんのこと。結果として、土は耕さなくてもいつもフカフカの状態になっています。このような方法をお話しすると、病気の葉を土に落とすことで黒点やうどんこが広がりませんか?という質問を頂くことがあります。が、答えはノーなのです。生ごみ堆肥を施し始めて以来、私の庭ではうどんこ病はほとんどでなくなっています。そしてさらに米ぬかを撒くようになってから、黒点病も出たとしてもあまり広がらず、葉もなかなか落ちなくなったのです。とても不思議なことなのですが・・・。
 追肥は、バイオゴールドの元肥(燐酸分が多い)を、水とともにペットボトルなどに入れ、しばらくねかせておき、芽が展開してきたころから、できれば週に1回くらいのペースで株元にあげるのが一番経済的な方法。薄い液肥を頻繁にあげた方が、肥料の効率がいいように感じているからです。
 春の花が終わりかけたらお礼肥をあげ、米ぬかをうっすらと撒きます。暑さが和らいだころには、もう一度米ぬかをうっすらと撒き、バイオゴールドを溶かした液肥を週1回くらいのペースで四季咲き性のバラに施します。この液肥はとてもよく効き、夏の疲れが取れて、株がぐんぐん回復していきます。
 また、2006年ごろからは、発酵肥料づくりにチャレンジ始めました。この発酵肥料は、土着の善玉菌を庭や雑木林などから採取してきてつくる即効性の有機肥料で、アミノ酸や善玉菌の塊のようなものです。少量でもよく効き、鉢にも安心。これで、高価な有機肥料を購入する必要がなくなりました。発酵肥料は、2月末の芽出し肥から始まって3月から10月頃まで月初めに一株に一握り施します。地植えのものは、2ヶ月ごとでも大丈夫です。盛夏期は、ごく少量にするか与えないのが無難でしょう。
 肥料はこのほかに、様子を見ながら苦土石灰やようりん、バッドグアノなどを冬に元肥として施すことがあります。2002年に肥料控えめで育てたら、極端に葉色が薄くなったり、まだらのようになってしまう株があり、苦土不足や窒素不足が疑われたからです。ようりんは燐酸や微量要素の補給。”省肥”といっても、バラと相談しながらというのが、やっぱり基本ですね。

剪定について ”自分の庭に薔薇を合わせて”

 ブッシュローズの場合、冬剪定では、四季咲きのものは深めに、一季咲きのものは浅めにというのが基本です。あとは、自分の庭に合わせて大きさを加減するだけ。時期は、冬至のころから芽が動き始める前ならいつでもさほど大きな違いはないように感じています。私は東京に住んでいるのですが、このごろでは以前に比べて暖かくなるのが早く、芽が動き出すのも年々早まってきているような気がしています。
 大きく育つつる薔薇やシュラブローズは、12月中に整枝と誘引を行ってしまいます。お正月前に庭をすっきりとさせたいからというのが大きな理由。古い枝や細い枝は思い切って落とし、夏に延びた若いシュートをできるだけ横にたおして目的の場所に誘引していきます。若いシュートが伸びていない株は、古い枝から伸びている花枝を2~3芽残して切り戻し、誘引します。
 壁に沿わせて素晴らしく枝を伸ばした薔薇でも、はしごに登って手が届かない枝は、ばっさりと落としてしまいます。そのまま咲かせたら見事だということはよくわかっているのですが、自分の手におえないものはあきらめる潔さも大切と心して。シュラブでも、茂りすぎたものはこじんまりと整枝を施し、スペースに合わせた育て方をします。あくまでも庭の中でのバランスが大切と考えています。
 ブッシュローズについては、寒のもどりでブラインドになってしまうのを防ぐため、2月の末から3月にかけていっきに剪定します。ちょうどこのころ、即効性の肥料を芽出し肥として与えます。

病害虫の防除について ”軌道に乗れば意外と簡単”

 
 化学農薬を全く使わない庭では、病害虫の防除が悩みの種。しかし、健康な土作りと、自分の庭を地域の生態系とリンクさせるということを心がけていくことで、だんだん悩みは減っていきました。今では、保護液もあまり使わなくても庭を維持できるようになっています。
 私の庭では、始めたころから、黒点病とうどんこ病はずいぶん少なくなりました。たとえ病気が出たとしても大きく広がらなくなりました。季節の変わり目ごとにうっすらと庭全体に米ぬかを撒くこともやっています。発酵肥料を自分で作り、使うことも始めました。 米ジョーするのも、米ぬかを撒くのも、発酵肥料を作るのも、庭に善玉菌を招き入れるためです。菌のバランスが整ってくれば、おのずと病気も蔓延しにくくなります。
 
 害虫対策ですが、チュウレンジバチなどの芋虫は、シジュウカラやコアシナガバチが夏の間中よく働いてくれて、大きな被害が出る前にいつのまにかいなくなっています。アブラムシは、テントウムシとその幼虫・ヒラタアブに任せておけば、まず大発生するということはありません。
 バラゾウムシに対しては、ニームオイルやトウガラシの焼酎漬けがお勧め。テデトールも欠かせません。特にゾウムシが卵を産み付けてしおれたバラの蕾は、丹念に摘み取って、絶対に土の上に落とさないことが肝心です。土の上に落としてしまうとそこで卵が孵って増えてしまうのです。
 最も気をつけなければならないのは、カミキリムシ。その幼虫のテッポウ虫が根を食い荒らし、薔薇を枯らしてしまうのです。これは、夏の間よく株もとを見回り、もし木屑のようなものがこぼれていたら、テッポウ虫が潜んでいる穴を探し出し、やっつけることが大切です。
 同じように、よく根を食い荒らすと言われるコガネムシの幼虫は、私の庭ではどうしてかほとんどみかけません。腐葉土を薔薇に使わないからなのかもしれないと思うことがあります。また、鉢の用土に炭を混ぜ、薄めの木酢液を潅水するのもよいようにも感じています。
 病害虫を化学農薬に頼らずに防ぐには、何よりも日々の観察が大切。そして、化学農薬を使わない庭造りが軌道に乗れば、とても楽に庭を管理することができるようになるのです

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